この度、第35回日本脳卒中学会を、第39回日本脳卒中の外科学会(嘉山孝正会長)第26回スパズムシンポジウム(遠藤俊郎会長)と同時開催とし、「STROKE 2010 」として盛岡の地で開催させていただく事となりました。岩手医科大学として、また、教室として誠に光栄に存じております。
さて、脳卒中の入院受療率は「癌」の1.5倍、「心臓病」の3.5倍を数えます。脳卒中死亡こそ減少して来ているものの、入院受療の増加は様々な障がいのため入院を余儀なくされている患者が如何に多いかを示しています。この点、脳卒中の罹患は本人の問題のみならず家庭崩壊をももたらす事となり、極めて重要な社会問題と言えるでしょう。この社会問題解消のために「脳卒中撲滅」が学会としての至上命題であり、責務とも言えるでしょう。
日本脳卒中学会として“脳卒中撲滅”を意識し「脳卒中治療基礎研究の最先端」、「脳卒中大規模臨床研究による最新の知見」「脳卒中医療チームにおける看護の役割」「脳出血治療の今」「MRIによる頚動脈プラークイメージング」「脳卒中に伴う認知機能障害とそのリハビリテーション」「脳卒中診療における地域連携」「脳卒中の日常臨床における脳循環代謝画像」「脳卒中の地域住民への啓発活動」の9つのシンポジウムを企画しました。また、合同シンポジウムとして「脳梗塞急性期再開通療法」を取り上げこれに関連しUniversity of Helsinkiの血栓溶解療法で有名なProf. Markku KasteにtPAに関する特別講演をお願いしました。さらに、University of British Columbiaの脳細動脈病変で有名なProf. Oscar R. Benaventeに皮質下梗塞に関する特別講演もお願いしております。
さて、技術立国である日本が、医療分野においてマイクロカテーテルや生体埋入電子治療機器などの国産化や新薬の承認が進まないのは何故なのかについての問題に関し、関岡英之先生に時事講演「奪われる日本 ―対米隷従の果てに―」の演題をお願いしました。日本の医学医療の将来を改めて考える機会として頂きたいと思います。
また、本学会の主題である「脳卒中撲滅」―社会ともに―に示されているように、学会の社会的責任として脳卒中対策基本法の早期成立と法制化を政府にお願いいたしている最中です。これを強力に支援する目的で「脳卒中対策基本法」の特別合同シンポジウムを組ませていただきました。
学会は、学術団体として医学研究を通じて病態を解明し、治療法を開発し、治療成績を向上させることをもって国民の福祉に寄与することはもとより、社会との接点の中で、啓蒙や、病める方々の救済を含めた社会活動をも進めてゆく責任を負っていると思います。この点、高い見地から脳卒中の医学・医療を推進して行かなければなりません。会員諸兄には、日頃の成果を存分に発表し、おおいに議論して頂くことを切にお願い申し上げます。
学会開催の時期は、コブシが咲き、次いで梅、桜をはじめ様々な花が同時に咲き始め、色がなかった風景が急に色めき始める「北国の春」真っ只中の盛岡です。学会のみならず「北国の春」を満喫していただきたいと思います。皆様のご来盛を心よりお待ち申し上げます。
第35回日本脳卒中学会総会会長
岩手医科大学大学長
小川 彰 |